しばらくして両瞼が持ち上がると光を感じた。

 白い…天井?
 柔らかな物の上にいるみたい……?
 手にも温もりを感じる……お母…さん?

「ありす!」

 女の子が両目にぼんやりと映る。

 ピンクブラウンの髪……?
 夕日(ゆうひ)…ちゃん……?

「目覚めて良かった……夜まで起きなかったから心配したよ」

 夜まで……?
 ずっと…手…握ってくれていたの……?

 白い壁に…テレビ…?
 左手に点滴……?

「ここ……どこ……?」

夜野(やの)病院だよ」
(のぞむ)先輩と翼輝(つばき)が連れに頼んで車手配してくれたの」
「軽症な奴らはバイクで2人乗りしてここまで運んだんだよ」

 病院……?
 手配? バイク?
 なんで私……泣いてるの?
 あ……。

 全てを思い出し、私の両目から止まることなく涙が溢れ出る。