総長、私のリボンほどいて。🎀



 …もし、あの時、部屋でパンフレットを見てなかったら、氷雅(ひょうが)お兄ちゃんと同じ書庫蘭(しょこら)高校だったかもしれない。

 今となってはもう遅いけど。

 花果緒(かかお)駅に電車が止まった。
 扉が開き、続々とサラリーマン達が降りていく。

「じゃあ俺、ここで降りるから」

「うん…」

 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんは私の頭をぽんっと叩くと、鞄を右肩にかけたまま開いた扉から出て行った。

 世界が変わってしまったかのようで少し寂しい。

 扉が閉まり、再び電車が動き出す。
 扉の窓から氷雅(ひょうが)お兄ちゃんの背中が一瞬だけ見えた。

 氷雅(ひょうが)お兄ちゃん、体大丈夫だよね…?

 髪のことは氷雅(ひょうが)お兄ちゃん以外秘密。

 高校行ったら月沢(つきさわ)くんに会うかもしれない。
 もし会ったら、昨日ベランダで私が金髪だったこと秘密にしてもらうように言わなきゃ。