その後、シスターが部屋から出て来てお世話になり、雨が止むと私達はシスターに頭をぺこりと下げ、聖アイス教会を出た。

氷雅(ひょうが)お兄ちゃん、オレンジジュースと西洋のお菓子美味しかったね」

「美味しかった、じゃねぇ」
「シスターがお前の具合心配して持って来てくれたんだろうが」

 ひえ、いつものぶっきら棒な氷雅(ひょうが)お兄ちゃんに戻ってる……。

「…貸して貰ったタオルで一応、髪と体拭いたが風邪ひいてねぇか?」

「うん、大丈夫」

「そうかよ。それでお前、ここまでどうやって来たんだ?」

 私はぎくりとする。
「あ、えっとタクシーで」

「嘘付くんじゃねぇ」

「…… 月沢(つきさわ)くんにバイクで送ってもらいました」

 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんは、はぁ、と息を吐く。
「別れたんじゃねぇのかよ」

「別れたけど……ご、ごめんなさい」
「近所迷惑も考えずに無我夢中で叫んでたら月沢(つきさわ)くんが隣の部屋から出て来てそれで……」