総長、私のリボンほどいて。🎀



 階段を上がりきると、

 キ…。
 聖アイス教会の扉をゆっくりと開ける。

 中はゴシックで四方をステンドグラスに囲まれ、茶色の椅子が両側にずらりと並んでいた。

 氷雅(ひょうが)お兄ちゃん、シスターさんと何か話してる?

「…そう、この教会の前に捨てられた赤ん坊は貴方だったのですね」
 若いシスターが自分の両指を絡めたまま話しかける。

「あぁ、俺はもう一人で生きて行く」
「あいつのところには一生戻らねぇ」

 なんで…そんなこと言うの?

「お迎えが来たようですね」
「人はそう簡単に一人では生きられないものよ」

「おふたりに神の御加護がありますように」

 若いシスターは祈りを捧げると部屋に入っていく。

 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんとふたりきりになった。
 外の雨の音だけが聞こえる。

 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんは私に背を向けたまま立っていて、何も発してはくれない。

氷雅(ひょうが)お兄ちゃん!」
 私の声がしんとした教会の中に響き渡る。