「…やべぇ、バイトの時間だから行くわ」
氷雅お兄ちゃんが起き上がろうとする。
私はぎゅっとグレーの長袖Tシャツの袖を掴む。
氷雅お兄ちゃんはポンポンと頭を叩くと、そっと私の手を下ろす。
あ……。
起き上がり、ベットから降りて少し歩くと氷雅お兄ちゃんは扉の前で立ち止まる。
「…夜には帰るから朝飯と昼飯は自分の好きなの食え」
氷雅お兄ちゃんは扉を開け、部屋から出て行った。
ぱたん、と扉が閉まる。
私はベットからゆっくり起き上がって降りると、鞄のファスナーを開けタオルを見る。
包んだ袋はぐにゃぐにゃで中のアイスキャンディーは完全に溶け切っていた。
私は鞄を開けたまま学習机の卓上ミラーを見る。
金髪を退けるとうなじが映った。
あ…月沢くんのキス痕だけじゃなくて、
隣に氷雅お兄ちゃんのキス痕が残って……。
見ていられなくて卓上ミラーを倒し、鞄のファスナーを閉め、再びベットに横たわる。
私はベットの上で静かに泣いた。



