「…バイトの時間だから行くわ」
氷雅お兄ちゃんはそう言って私の頭をぽんっと叩く。
「味噌雑炊、キッチンの鍋の中に入ってるから好きなだけ食えよ」
「あ、うん」
氷雅お兄ちゃんはベッドから立ち上がると部屋から出て行った。
ぱたん、と扉が閉まる。
私はおぼんの上に味噌雑炊を置いてアイスコーヒーを一口飲むと、自分の髪に触れる。
顔が熱い。
氷雅お兄ちゃん、男の目、してた……。
氷雅お兄ちゃんはもう、“お兄ちゃん”じゃないんだ。
それに……。
“私は黒雪を選びます”
黒坂翼輝にそう言ってしまった事を思い返し、私はベットに横たわる。
月沢くんと、ちゃんとお別れしなきゃ。



