大粒の涙が留め度もなく、ポロポロと落ちていく。 「氷雅(ひょうが)お兄ちゃんみたいな綺麗な黒髪だったら良かった!」 「私はこの髪が、金髪が大嫌い!」 「偽物の氷雅(ひょうが)お兄ちゃんなんて、だいっっきらい!!!!!」 そう泣き叫んだ瞬間、 心に絡まった絆のリボンがほどかれ、バラバラに千切れた。 私は氷雅(ひょうが)お兄ちゃんの手を振り払う。 そして洗面台を出て玄関まで走る。 「ありす!」 氷雅(ひょうが)お兄ちゃん、もう私の名前を呼ばないで。 私は玄関で靴を履き、扉を開け、走って出て行く。