「――――落ち着いたか?」
「うん…」
「この際だからバラすけど、カラオケ店でバイトするより総長の時間のが長ぇし」
「え」
私は驚きの声を上げる。
「集会とかバイクでカッ飛ばしたり、敵対する暴走族とやり合ったりとかな」
「だから私の部屋で間違えて寝たり、体調悪かったりしたの?」
「あぁ、あん時は、ほぼ徹夜だったな」
そうだったんだ……バイト疲れかと思ってた……。
氷雅お兄ちゃんは私を離す。
あれ?
いつもなら自分からは離さないのに……。
「お腹空いただろ、何が食いたい?」
「いい、今日はもう寝る」
「氷雅お兄ちゃん、おやすみなさい」
「ん、おやすみ」
私は部屋に向かって歩いて行く。
ふと氷雅お兄ちゃんを見ると、自分の手の平をただじっと切なげに見つめていた。



