「あの時、氷雅お兄ちゃんとゲーセン行かなかったら暴走族に襲われることもなかった」
「氷雅お兄ちゃんが黒雪の総長にならずに済んだ」
「月沢くんと敵対することもなかった」
だめ、気持ちが止められない。
「ううん、それだけじゃない」
「お母さんとお父さんが出て行くこともなかった」
「氷雅お兄ちゃんがカラオケ店でバイトすることもなかった」
「私さえいなければ氷雅お兄ちゃんは幸せだったのに!!!!!」
私は感情を爆発させながら泣き叫ぶ。
「ありす!」
氷雅お兄ちゃんは私をぎゅっと抱き締める。
「ふざけんな! ふさげんなよ!!」
「お前がいて幸せじゃねぇって思った日は一日もねぇよ」
「俺はお前さえいればいい」
「お前が傍にいるだけで幸せだ」
氷雅お兄ちゃん……。
「うわああああぁぁぁぁ……」
私が号泣すると氷雅お兄ちゃんは抱き締めたまま私のウィッグを優しく撫でてくれた。



