――――グィッ。
氷雅お兄ちゃんが私の腕を掴んで引っ張った。
私が中に入ると、ぱたんと扉を閉める。
「あの、氷雅お兄ちゃ…」
「もう帰って来ないんじゃねぇかって思った」
「良かった」
私の両瞼に光が滲む。
氷雅お兄ちゃん……。
「…帰らないつもりだった」
「でも、帰ってきちゃった…」
「全部思い出したから」
「…黒坂翼輝」
氷雅お兄ちゃんは目を見張る。
「お前、あの時、意識失ってたんじゃねぇのか?」
「…意識はあった。だから全部思い出せたの」
「氷雅お兄ちゃんが黒雪の総長になったの、私のせいだってこと」
「お前のせいじゃねぇ。俺が勝手に決めたことだ」
私は首を横に振る。
「ううん、私のせいだよ。だって総長になった理由、私を守る為だもん」



