月沢(つきさわ)くんはそう言うと私をぎゅっと抱き締める。 右肩から鞄が地面にずり落ちた。 大粒の涙が溢れて溢れて止まらない。 「…星野(ほしの)、俺、離れる気ねぇから」 「私も…離れたくない」 「だけど氷雅(ひょうが)お兄ちゃんが…」 「…別れたことにすればいい」 「え?」 「…この後、バイクでお前を部屋まで送り届けて別れたこと、俺の部屋が隣なことをあいつにあえて伝える」 「…でもベランダのことは秘密のままな」 「上手く行くかな…」 「…上手く行かせるしかない」 「なら」 私は決意の目で月沢(つきさわ)くんを見つめる。