まずい、ウィッグつけてない。
家ではいつも取ってるから。
しかもだっさいTシャツに短パン……。
私の顔がサァーッと青ざめる。
終わった……。
どうしよう。
今まで髪の事は氷雅お兄ちゃん以外秘密だったのに。
もし、同じ高校だったら!
「あ、あのっ」
「…板壊したの、俺じゃないから」
「…野良のブタ猫だから」
え、ブタ猫が壊したの!?
「…これ、やるよ」
男の子は袋に入った白いサワー味のアイスキャンディーを仕切り板の穴から手渡してきた。
「え、受け取れません」
「…溶ける、早く」
私のアイスキャンディーじゃない。
だから別に溶けたっていいはずなのに。



