「…着いちゃった」
 30分後。私は飾紐(りぼん)高校の正面玄関の前にいた。

 月沢(つきさわ)くん、もう来てるかな…。

 私はドキドキしながらも足を踏み入れる。

 C組の下駄箱、どっちだっけ…。

 私が迷っていると、後ろから誰かが入ってきた。
 周りがざわめく。

「え!? 不登校の月沢(つきさわ)!?」

「髪、黒くなってるぞ」

「キャー! イケメン!!」

 私は恐る恐る振り返る。

 え、月沢(つきさわ)くん、私と同じ黒色のウィッグ被ってる!?

 しかも不登校で有名から一気に人気者になって……。

「…何見てんの?」
 月沢(つきさわ)くんが冷たい口調で尋ねてくる。

 あれ?
 雰囲気が…。

「あ、えっと…」

 私の耳元に月沢(つきさわ)くんの極上に甘い唇が近づいてきた。