プロローグ

2-C、中藤速斗
顔はそこそこらしい、クラスメイト達は「俳優の〇〇にそっくりじゃ〜んっ」って騒いでるけど。
一回も見たことないって言ったら、女の子達にながぁーいため息をつかれた。
運動神経はいいらしい。
理系。
そんな人が、文系クラスの私、金白由紀に何か用があるらしい。
クラスも、選択科目も違うのに。
一回も見たことないのも当然でしょ!
何であっちは知ってるんだろ。
それに多分、正確も真反対だ。
ウワサによると、「物静かで、結構モテる」らしい。これはぜっっったい、「合わない」。
クラスメイトの女の子達からの伝言で、いかにも少女漫画で告白シーンに使われそうな特別活動室、通称[特活室]に向かう。
放課後、帰宅部の子は早々に下校するし、運動部は外か体育館。室内部はだいたいがB棟だから、校舎はとても静かだ。
中に入ると、だれもいなかった。
陸上部らしいから、少し遅くなるのか。

ガラララッ

振り返ると、体操服姿の中藤速斗は、後ろに手をやり、頭を掻きながら歩いてくる。
目があって、思わず呼吸が止まる。
顔を見ると、これは普通より少し上というレベルではない。モデルさんや俳優さんにいそうな程、十分に「イケメン」だ。
「あのっ、ご用件は…。」
慌てて口を開くと、その人は無愛想に言った。
「あのさ、2-Kの金白 由紀さん、ですよね?」
「あ、ハイ。そうですけど…。」