青に染まる

 小便小僧の前は、池になっている。問題はその池だ。鯉でも泳いでいれば風情があるどころの問題ではない。泥地に住まうこともある実は外来生物である鯉ですら、少し入るのを躊躇するのではなかろうか。

 要するに、汚い。藻なのか何なのかわからないものがそこら中にある。藻だけならまだ可愛いものだが、池は触れなくともわかるくらいへどろにまみれていた。時折紙くずやら紙コップらしきごみも見えるのは、幻覚と思いたい。

「これを掃除せよとのことなのです、汀先輩」

 池の前で合流した秋弥くんが言う。何でも、夏休みに入る前にどうにかしておいた方がいいという先生のご意向。だいぶ前からやっとくべきだったと、僕は思った。

「何故こうなるまで放置したかね……」
「わかりません。どうにかなるでしょうか、先輩」

 秋弥くんが不安そうに見上げてくるのに、僕は肩を竦めるしかない。

「どうにかするしかないでしょう」

 幸い、異臭を放つとかいうところまではいっていない。いく前に気づいてよかった。ファインプレイ、先生。

 よし、気分が前向きになったところで作戦を立てよう。夏帆さん春子さんも含め、人員は四人。顔を付き合わせ、話し合う。

「とりあえず、素手で触りたくないよね」
「同意だ。へどろに触るなんて嫌だ」
「春子が珍しく女子らしいこと言ったー」
「黙れバカホ」
「ちょっと待ってひどい」

 おろろーんと言い始めた夏帆さんを放置し、ひとまず職員室に行くことが決定した。