青に染まる

 だが、おれは違うことを叫んだ。

「兄弟に親愛を持って何が悪い?」

 兄弟愛、というものが世には存在する。それを笠に着て、恋愛感情を誤魔化したのだ、おれは。周囲の目を欺くために。

 そうだよ、兄貴が好きだよ。家族としてな。それの何が悪い?そうやって自分をも誤魔化した。

 ずっと、この心は隠さなくてはならない。彼にも知られるわけにはいかない。おれは影に徹して、兄貴を守っていればいい。

 そう思いながらも、どこかで恐れていた。──いつか自分の手の届く範囲から……目の届く範囲からいなくなってしまうのではないかと。

 この期に及んで、やはりおれは彼を誰にも盗られたくなかったのだ。

 そのときおれはまだ、ずっと一緒にいるのは難しいことだとちゃんと理解していなかった。