青に染まる

 兄貴は不安になりがちなおれを癒してくれる。幼い頃からずっと嫌な顔一つせずに、おれの話を聞いてくれる。これはそれに対する恩返しのようなものだ。

 おれの傷を癒して、守ってくれる。今度はおれが守る番なのだと思う。

 中学生と高校生で学校はばらばらだけれど、それでもおれには何かできると思うんだ。そうじゃなきゃ、おれが生きている意味がない。

 少し異常であることは知っている。守るというのは半分言い訳で、本当はおれはただただ兄貴という存在に執着しているだけなんだ。優しい言葉をかけてくれる、おれだけの兄貴。

 それを守りたかった。独り占めしたかった。

 彼は知らないことだが、学校で悪口を言われているのは大抵兄貴のことでだ。容姿が似ていない、雰囲気が似ていない、勉強ができるできない、性格が違いすぎる……おれと兄貴の違いなんて山のようにあるから、数えたらきりがない。

 奴らはおれが兄貴をどれだけ大切に思っているか知っているからこそ、(けな)してくる。人の大切なものを貶すことで、優越を得ているのだ。

 可哀想な奴らと無視することもできたが、兄貴が絡むとどうも抑えが効かない。

「おれと兄貴が兄弟で、何が悪い!?」

 いつも絶叫していることだ。おれの中に宿る執着心により、大抵の者が引き下がるが一部は馬鹿にする。

「お前、兄貴のことが好きなのかよ? 兄弟のくせに!」

 その言葉はおれの感情を的確に言い当てていて、言葉を失いそうになった。

 おれは兄貴が好きなのだ。恋愛的な意味で。