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通学は電車と自転車を使って1時間かかる。
わざわざ遠い学校を選んだのは、地元の子が多く通う高校を避けたからだ。
電車通学なんて大丈夫なのか、と心配症の両親は信用していたけれど、わたしは生まれ育った小さな町から、少しでも離れたかった。
高校に入学して半年。
場所が変わっただけで、結局、何も変わらなかった。
わたしはずっと、ひとりぼっちだ。
あわただしく春が過ぎて、夏休みが終わって、秋が来ても。
季節の変化や学校行事だって何の意味もない。
わたしは相変わらず、みんなと違う目の色を気にして、目を伏せて過ごしている。
中には井上さんや吉田さんのように、いつも1人でいるわたしを気にかけて声をかけてくれる優しい人もいる。
だけどそんな優しさは、もったいないと思ってしまう。
わたしには、そんな風に気を遣ってもらえる価値なんてないのだから。
みんなと同じ制服を着て、同じ鞄を持って、同じ空間の中で1日を過ごす。
学校にいると“みんなと同じ”ということが正義なんだと感じる。
多様性が大事なんて言うけれど、そんなのは所詮きれいごとだ。
みんなと違う存在は、どうしたって目立つ。
水に浮かぶ汚れた油みたいに、決して自然に溶け込めることはない。
だから、見た目のことを指摘されるたび、おまえは部外者だからここから出て行け、そう言われているように感じる。
ここにいる資格はないのだと。
集団でつくりだす空気が、学校という場所には存在する。

