「紫央!」 声を振り絞って名前を呼ぶ。 ねえ、どこにいるの。 返事をしてよ。 いつもみたいに笑って、帰ろうって言ってよ。 わたし、まだ、紫央に何も伝えられていないのにーー。 息がカラカラで声が出ないから、そんなに大きな声は出ない。 それでも、力いっぱい紫央の名前を呼び続けた。 寒さなんて、とっくに吹き飛んでいた。 ただ、紫央に会いたかった。 そのときだった。