「はい、OKです。では確認します」 その声が、私を現実世界に引き戻す。 「え?」 「ん? どうした?」 「あれ? 写真、撮った?」 「うん、ずっと撮ってたよ。……もしかして、気づいてなかった?」 「シャッタのー音とか、全然聞こえなかったし、まぶしさとかなかったし」 「それだけ世界観に入り込めてたってことだね。いいことじゃん」 「でも実感が……」 「でも、楽しかったでしょ?」 楓君の問いかけに、私は考えることもなく答えた。 「うん」