ありえないよね?


ありえないでしょ?


でも……、涼ちゃんだって、男だ。

高校二年生、17歳。


そう思った瞬間、薄い壁を挟んだ向こう側が気になり始める。

聴力がさえわたる。

目を閉じても、部屋の扉に何度も目が行ってしまう。

いつその扉が開かれるのかと、いろんな意味でドキドキしている。

涼ちゃんの匂い、大きな手、色っぽい指先、厚い胸板。

低い声に、甘ったるい吐息。

皮膚の滑らかさと抱きしめられた時の腕の力強さ。

いろんな思い出と想像と妄想の中で、私は眠れぬ夜を過ごした。