かくして私たちの同居生活はなんの障害もなく始まった。

翌日、涼ちゃんは早速少量の荷物をもって我が家にやってきた。

そして両親にも家にも、快く受け入れられた。

ただ、お見舞いがてら入院中の吉田さんに同棲報告をすると、かなり渋い顔をされた。


「それはいい考えだと思うけどね。

 実際僕と涼也だって一緒に暮らして今の生活が成り立っているし、やりやすいのは間違いない。

 だけど、一般家庭のお嬢さんと同棲っていうのはねえ。

 いくら代理のマネージャーとはいえ、リスクが高いなあ」


「リスクって、何ですか?」

「……週刊誌」


 涼ちゃんは私の隣でぽつりと言った。


「一緒に暮らすのはいいけど、それだけは気を付けてよ」


吉田さんの苦々しげな表情と声に、涼ちゃんはただ小さく「はい」とだけ返事をした。