唯くん、大丈夫?

突然降ってきたその仮説が、ストンと腑に落ちた。



そっけない唯くんも、腰にまわされた紫藤ユリアの手を外そうとしなかった唯くんも、説明がつく。







「そっか…。」











私、







フラれるんだ。













「優花…?」


「……あっはははー!」



突然笑い出す私に美琴がビクッと肩を震わせる。




そっか…


そっか、うん


自然なことだ。


何も不思議なことはない。


突然現れた美女にイケメンが惹かれて、両思いになる。


そんな当たり前な話。







「……はー!美琴!テスト終わったらさー、なんか甘いもの食べに行かない!?」


「もちろんいいけど…ダイエットはいいの?」


「うん!もういいや!甘いもの、いっぱい食べたい!」


美琴は、開き直ってヘラヘラ笑う私を不思議そうに見ながらも深く聞かずに、私の手を握って微笑んでくれる。


「…分かった。ケーキバイキング奢る。」


「やった!」




「おーし授業始めるぞー」


いつの間にか鐘が鳴っていたらしく、てらちんがいつものように教卓の前に立った。



教科書とノートを出して、シャーペンを握る。







「…」







ノートにポタポタと、

灰色のシミができる。