そして放課後に、なった。
「じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつ」
私はいつものように校門にもたれかかって、その人を待つ。
「くうねるところにすむところやぶらこうじのぶらこうじパイポパイポ」
一点を見つめて早口で寿限無を唱える私を、
生徒たちが一定の距離をとって怯える目で通り過ぎていく。
今日のいろんな出来事を思い出さないように、
なんとか寿限無をもってして上書きしていく。
唯くんの無駄にキレイなキスシーンも
紫藤ユリアの妖艶な微笑みも
唯くんの「めんどくせーわ」も
いったん無くさないと
私らしく笑ってないと
「パイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーのちょうきゅうめいのちょ」
「うすけ」を言う前に、
地面だけだった私の視界にコツンとローファーが入ってきた。
「やめろ不審者。」
「………さーせん。」
こんなときすら唯くんは、かっこいい。



