「……へー。」
ヘラヘラした私の顔に唯くんが興味なさげな相槌を落とした。
「それはそれは、いい彼女ですね。」
「へ」
「俺が他の女の子とハグしてもキスしても、許してくれるんだ。」
唯くんはいつもの無表情のまま。
…だけど、
なんか怒ってる…?
思考停止してヘラヘラのままかたまる私の耳に、休み時間の終わりを告げる鐘の音が響いた。
生徒たちが私たちの横をすり抜けて教室の中に入っていく。
「…なんかもう、めんどくせーわ。」
唯くんが独り言のように言った。
……め
めん…?
唯くんはそのまま理解の追い付かない私を置いて、教室の扉をピシャンと閉めた。
めんど、くせーわ…?
『めんどくせーわ』と、言った?
むしろめんどくさくない女になろうとしたはずなんだけど
あれ?
あれれれー?



