本当は怖がりで、寂しがり屋で、ちょっと子供っぽい私のヒーロー。

全身で私を愛してくれて、いつも助けに来てくれる私のヒーロー。






私は、そんなヒーローの、そんな大好きな唯くんの、






「唯くんの…っ、彼女になりたい…!」


「…っ」



少し戸惑っていた唯くんが、大きく息を吐いてからぎゅう、と抱きしめ返した。



「…紛らわしい言い方すんな、バカ」



肩がじわ、と温かくなって、濡れる感覚がする。





…唯くんだ

唯くんだ

私の大好きな唯くんが、帰ってきてくれた…!



思い切り大好きな唯くんに抱きつける喜びを感じながら、その愛おしい温もりを感じながら、その震える肩に気持ちが溢れ出る。


「唯くん、大好き…っ」


うわずった鼻声で「うん」と返事をする唯くんにさらに強くしがみつくと、唯くんもさらに力を込める。


これまですれ違ってた時間を埋めるように、もう離れちゃわないように、お互い涙でぐちゃぐちゃになりながら強く強く、抱きしめ合う。



「どうしよう…」


「…うん?」


「幸せすぎるぅ…」



私は鼻水ダボダボの鼻声で言った。



「…優花」



唯くんが鼻を啜って顔をあげ、腕の力を少し緩めて私の顔を覗き込んだ。

涙で濡れた目で、愛おしそうに私を見る唯くんが何か言おうと口を開いた時、




ヴーーーーッ。




唯くんのポケットでスマホが振動して、ゴトリと地面に落ちた。