唯くん、大丈夫?

「これは喝だよ。4年分の。」



悶絶する俺に、美琴が冷ややかな目を注ぐ。



「…こんな都会のど真ん中で入れなくても良くない?」



至極真っ当なことを言ってる俺を無視して、美琴は腕を組んで説教を始める。


「もう、らしくないんだよ。唯らしくない。
スマートで大人な唯なんて誰も望んでないよ。いつまでも涼しい顔でカッコつけてないで泥臭くぶつかってきなよ。
そうしないと唯も優花も、過去に引きずられたまま前に進めないよ。」



「…」



「返事は?」



「………はい」



美琴の圧についお返事してしまう。



「はい、言質とった。」



美琴がここぞとばかりに極上スマイルを見せる。



「あ、これ快気内祝い。じゃ。」




そう言って美琴は俺に袋を手渡すと、短くなった髪をフワッと揺らして駅の方へと歩き去っていく。



俺は貰った袋の中をチェックする。




…まぐろプリン?




灰色の生地にマグロの身らしい粒々が混ざってる。

パッケージには妙にリアルなマグロの絵。

…こんな食べる気がしないプリン初めて見た。

相変わらずセンスが謎。








俺は小さくなっていく美琴の背中を見送る。










さすが。



俺の急所を的確について、心も体もグサグサと刺していきやがった。









…泥臭く…


今の俺に、そんなことできるんだろうか
















「…見ーつけた。」





背中に刺さったその声に、

俺は反射的に眉間に皺を寄せた。