私は、そこでようやくみねくんのしようとしてることを理解した。



「…駄目だよ、みねくん…っ、私なんかのためにそんな、」



みねくんは私の気持ちを汲んで、私が1番楽な方法で離れようとしてくれてる。

別れた後も私が生きやすいように、自分が悪者になろうとしてくれている。



「こらー。『なんか』とか言うな。可愛さ半減だぞ」

「…っ、みねくん、どうして…?」



みねくんの優しさに、また涙が込み上げる。



「…言ったじゃん。俺が優花を幸せにしてやるって」



みねくんが困ったように笑う。



「やっぱ向いてねぇな、俺。クズの方が性に合ってるかも!はは!」



胸に膨らむ罪悪感と、みねくんとお別れしなくちゃいけない、という矛盾してる寂しさが込み上げる。

静かに涙を垂れ流す私の頭に、みねくんがポンと手を置いて優しく微笑んだ。



「…もう、連絡してくんなよ」

「…」

「あー、やっぱ嘘。連絡してもいいけど…しばらくは、勘弁して」



少し震える声で言ってヘラヘラするみねくんの目尻に、少しだけ涙が光った。



「みねくん…っ」

「何が何でも幸せになれよ。優花」



みねくんは私の頭をグシャグシャにしながら力強く言って、手を離した。



「じゃ、女の子待ってるから。バイバーイ!」

「…っ」



みねくんは何でもないいつものさよならみたいに軽く言って、私に背中を向けた。

そして来た道を軽快な足取りで戻っていくみねくんを見て、あることに気が付く。