唯くん、大丈夫?


みね君がペットボトルのお茶を私に差し向けながら私を優しい笑顔で見下ろしてる。


「月…?あ、あー、うん、きれいだね」


お茶を受け取りながらヘラヘラと受け流す私に、みね君がため息をつきながら隣に座った。


「もー、わかってねーだろ」

「?」

「夏目漱石」

「え?」



夏目漱石?

突然みね君から出てきた文豪の話に思考停止する。



「っかー!常識ですよ、羽根村さん」



みね君が缶コーヒーをあけて、クッと飲む。



「夏目漱石がアイラブユーを訳す時に、日本人は「愛してます」なんてシャイで言えないから「月が綺麗ですね」って訳したって話。まぁ諸説あるらしいけど」











『月が綺麗ですね』


『へ?月?』


『…ハッ。安定のアホで安心した』













「…へぇ…」






 




今更



今更分かって



どうするの












「へぇってお前な……、」


みね君が私の顔を見て固まった。