そう呼んでわたしの首根っこを捕まえて連行したのは、モモちゃんこと、安藤桃菜ちゃん。


モモちゃんは、高校のとき私に焼きを入れた女の子。

そう、資料集を叩きつけたあの人です。

色々あってお友達になったモモちゃんは、みねくんと同じ稲大生で、一年生の時に私がINBAに誘った。

ちなみに強めなヤンキー系だったモモちゃんは綺麗なお姉さん系になってモテモテになり、今はINBAイチ熱くて真っ直ぐな男の子、伊勢くんと付き合っている。


「何があったんだよ」

「へ」

「へ、じゃねーよ。あの人のことに決まってんだろ」

「あー、はは」

「ヘラヘラすんな」

「さーせん」


相変わらず中身はヤンキーなモモちゃんの鋭い眼光に、私は真顔でピシリと正座した。


「ちゃんとケジメつけたってことだよね」

「ケジメ…?」

「長嶺と付き合うってことは、もうあの人への気持ちはないのかって聞いてんだよ」

「…」


私が声を出せないでいると、背中にトン、と寄り添ってきたその人が声を出す。


「もーもなさん!」

「…んだよ長嶺」


モモちゃんが元ヤンの風格全開でみねくんを睨む。