唯くんがゆっくりと唇を離して、頬をそっと撫でて、
「…っ、ふ……ぅ…っ」
「…!」
私の目から流れ出るものに気がついた。
「……優花…?」
唯くんが動きを止める。
「…で…きない」
私の知らない、他の誰かの為の優しい手、優しいキス
私じゃない、他の誰かを想う唯くんに抱かれるなんて
「できない…よ…」
だって私、いま、
心臓が破裂しそうなほどドキドキしてしまって、
胸が押し潰されそうなほど、
「わたしには…できない…」
唯くんが、好きなんだよ。
「…」
涙が溢れて止まらない私を、
唯くんがそっと抱き起こして、抱きしめる。
「…優花」
ほら
そうやって私を呼ぶ声も
嘘みたいに優しいハグも
「ごめん」
高校生の頃と何も変わらないのに
「…ごめん」
もうあの頃の唯くんは
いなくなっちゃったんだね
もう会えないんだね
唯くん
『ヴヴ…ヴヴ…』
また私のスマホが、暗い部屋の中を照らしながら振動を始めた。



