「…唯くん…本当にごめん」


「気にすんな。俺が勝手に着いてきただけだし」


「…ありがとう。…じゃあ。」


「…うん」


「気をつけて帰ってね」



私が手を振ると、唯くんも軽く手をあげて、背中を向ける。









その後ろ姿に、また胸が痛んだ。








…あーっ、もう、おしまい!


感傷に浸るの、おしまい!




私は唯くんの背中を見送るのをやめて、アパートの頼りない階段をカン、カン、と音を立てて登り始める。




ラッキーだったじゃん、かっこいい唯くんを見られて。


…そうだよ、よく考えたら付き合う前はあの後ろ姿を見ていられるだけでいいって思ってたのに


いつからこんな欲張りになっちゃったんだろう?


一年も付き合えただけ、幸せも…の………








「…う」