「…でもあの時、相当参ってたから。笑わせてもらえて凄く助かったんだー」


「あー…」


みね君は靴紐から視線を逸らさずに言う。


「あの時結局、来なかったんだっけか。」


「あーはは…うん」






私が階段から落ちてしばらく入院する間

私はずっとその人を待っていた。






扉を開けて


無表情で


でもちょっとばつが悪そうな顔で


「何してんだよ。アホ」


とか言ってくれるその人を想像しながら


一人ぼっちの病室のベッドの上で


じっと待っていた








でも、唯くんは来なかった。









「それにしてもさ!」