唯くん、大丈夫?

その時、階段を登ってくる足音が聞こえてきて慌てて涙を拭った。

顔をパタパタ仰いで冷静を装いながら階段を降りていくと、
ふと、どんどん近づく足音が馴染み深い足音であることに気がついた。

階段の踊り場でその足音の主と目が合う。











…どうしてこんなときでも


そんなかっこいいんですか?











「……唯…くん」











唯くんが無表情にも見える困った顔で、瞳を揺らす。





「…」





不意打ちの唯くんに、どうしたらいいかわからずただその場に立ち尽くす。





「…」





数秒後、唯くんは何も言わずに目をそらして私の横をすり抜けた。







あ…







そして、何事もなかったかのように階段を登りはじめる。







…まただ。


唯くんが行ってしまう。


私に背中を向けて、また、行ってしまう。