「みね君、違うよ、唯くんは、」
「つーかさ」
みね君がその日初めて、低く冷たい声を出した。
「その手離せよ。優花の手、潰す気?」
ハッとした唯くんが手を離して、私の赤くなった手首が露わになった。
「…」
唯くんの表情がどんどん曇っていって、
私の手首を映す唯くんの目から、徐々に獣がいなくなっていく。
「…あ…、や、唯くん、大丈夫!大丈夫だよ!全然痛くない!」
私は脱力する唯くんの手を掴んで、必死に訴える。
だって今一番痛いのは私の手首なんかじゃなくて、
「………ごめん」
弱々しい声を絞り出した唯くんが
冷たくなった手でゆっくり私の手をほどいた。