お気に入りのピンクの傘が私の手から滑り落ちた。




「…み…ねく……?」




私の呼びかけにみね君は答えることなく、私を抱きしめる腕に力を込める。




濡れて冷たくなった身体は震えていて、寒いからなのか、泣いてるからなのか分からない。








あの日

橋の上で全部終わらせようとしていた自分と重なる










「……大丈夫だよ」


「…!」


「大丈夫」





1人じゃないよ。





私はみね君の背中に手をまわした。


























「……なに、してんの……?」







激しく降る雨の音に

後ろのその聞き慣れた声が混ざって小さく揺れて

私はようやく忘れ物をしていたことに気がついた