唯くん、大丈夫?

半ギレの唯くんがなんだかんだ服を受け取って試着室の中でゴソゴソ着替えてくれるのを、私はベンチに座って足をプラプラさせながら待つ。






はー…


最高。





唯くんとショッピングデートできる幸せ。

この不必要なことに時間を使える幸せ。最高。




昨日行われたこれまでの集大成である大本番の試験は、それなりに手応えはあった。

あとは祈るのみ。

…否!遊ぶのみ…!!




私が言い知れぬ解放感に顔をニヤつかせてると、ポケットのスマホが振動した。



見ると、みね君からの着信。

…電話なんて珍しい。

というか初めてかも。



私が応答しようとスワイプする前に、画面が消えて振動がとまった。







なんとなく嫌な予感がして、すぐに折り返しの電話をかけてみる。


…♪♪♪


呼び出し中の音楽が流れるだけで、みね君はなかなか出てこない。



電話を切って画面の『長嶺 光』という文字を見る。

みね君の合格発表は、今日だ。

先週見たみね君の泣き笑いする顔がよぎる。



みね君、大丈夫かな。



ひとまず『どした?』とメッセを送ったところで、試着室のカーテンが開いた。



何食わぬ顔の唯くんと目が合う。





「…参りました。」





このままパリコレのランウェイを歩けそうな唯くんが、返事の代わりにお腹を鳴らした。