唯くん、大丈夫?

私とてらちんは唯くんの邪魔をしないように、後ろの方の席で待つことにした。




私は椅子の上に体育座りしてブレスレットをいじる。



「…あ、そうだてらちん。どうしてあのタイミングで駆けつけてくれたの?鍵持ってたの?」



てらちんは足を組んで何かのファイルをペラペラめくりながら答える。


「あー…メイド服の女の子がおっさんと図書室に入るのを見たって人がいたんだよ。鍵閉まる音がしたって言うから急いで職員室に鍵取りに行ったんだ。」


「そうだったんだぁ。見た人って浦高生?」


「いや、他校の男の子だよ。」


あのとき全然人の気配なんてなかったけど、見てくれてた人がいたんだ。

お礼したかったなぁ。


「…まぁよかったよ、九条が事件起こす前に駆けつけられて。」


「あはは。ほんとだねぇ。」


「笑い事じゃねーぞ羽根村。あと一歩遅かったら本当にあの変質者を殺しかねなかったぞ、あの猛獣。」


唯くんを猛獣呼ばわり…

この2人、こんな仲悪かったっけ?