「唯っくーーーん!」




ガバッとその腕に抱きつく。


いつも通りを装って。




「…」




唯くんが無表情で腕に抱きつく私を見てる。




…いつもより長くありませんか、九条唯さん?

私の気のせいでございましょうか?




「…」




はい。

羽根村、ただいまとんでもない心拍数を叩き出しております。

急ぎ救急車、お願いします。





「…」





数秒後、唯くんはフイッと前を向くと、いつも通りよいしょ、と腕をほどいた。






ッあーーーーーーー。






よかったー、ビックリしたー。

よーしよしよし、おっけーいつも通り。

おーし、ふーーー。




心臓のバクバクをおさえるために、田舎のおばあちゃんを思い出す。










…サワサワサワ…(稲穂の揺れる音)








「…うんうん、やっぱり緑茶には梅干しだよねぇ…」


「…何言ってるの?」

美琴が心配そうに私のおでこに手を当てる。

大丈夫だよ。もう熱下がってるよ。