唯くん、大丈夫?

「先生はな、お前のその人を見下すような…お前の親父そっくりなその目を見ると、虫唾が走るんだよ」



仁平先生から突然出てきた『お前の親父』というワードに、私たち見守り隊は顔を見合わせる。



「元ヤンのお気楽な低所得男が一家の大黒柱で、さぞかしお前のお母さんは苦労してんだろうなぁ?」

「…いや、毎日親父と酒飲んで楽しそうにしてるけど。」


唯君が平然と言うと、
仁平先生は信じられないと言わんばかりに目を見開いた。


「……楽しそうに……?」

「毎晩2人でゲラゲラ笑ってる」

「ゲ、ゲラゲラ…?理奈さんがゲラゲラ笑ってんのか?」

「うん」

「…」



ひどくダメージを受けたらしい仁平先生がフラッと後ろによろけて着席した。




「……20枚だ。」


仁平先生がポツリと呟く。


「?」


「もし今回また苦情が入るようなことがあれば、原稿用紙20枚反省文を書いてもらう。」


「はぁ!?」


「なんだ?文句あるのか」


仁平先生は生気のない目で乾いた笑いをこぼす。


「20枚って…受験生に課す量じゃないんじゃないですか」


ここで初めて敬語を使う唯くん。


「なに言ってるんだ。学校の看板を汚したらそれぐらいやって当然だろう。それに苦情が来なければ何も問題ないよな?」


押し黙る唯くんに仁平先生が肩を叩いて念押しする。


「粗相すんじゃねーぞ、問題児」