秋。








秋が来た。









「いやー…凄いですね、九条さんの人気。」






白いワイシャツを軽くまくって、黒エプロンを腰に巻いたウェイター姿の仲山くんがだらしなく机に頬杖をついて言う。



「あ、やっぱり仲山さんから見てもそう思います?」



その隣でツインテールにヒラヒラをつけたミニスカメイド姿の私も、だらしなく頬杖をついて言う。



私たちの視線の先には、恐ろしくかっこいい執事姿の唯くんと、写真を撮ろうと周りを囲む女の子たち。



ちなみに本日の唯くんは丸眼鏡です。

ちなみに唯くんの視力は2.0です。

ちなみに、




……フー(鼻息)、




最高です。






誰?

丸眼鏡持ってきたの誰?

国民栄誉賞を授けたい。





「ええ。えげつないですね。僕、近づけないですもん。」


「あら奇遇ですね!私もなんです!」


「…あなた彼女ですよね?」


「ええ」



スマホのカメラで目一杯拡大して連写するもブレブレになる唯くん。



「くぅ…!むずかちぃ!望遠レンズ買おうかなぁ」


「彼女ですか?ファンですか?」


「それは難しい質問ですね」