みね君は多分、案外まともな人だ。



確かにチャラい。かなりチャラい。

可愛い女の子を見つけると一目散で口説きに行く。

私に対しても二言目には「デートする?」と言ってくる。

…でも。

困ってる人がいたら男女問わず助けてあげるし、

いろんなところに目配せして気遣ってるし、

私に限らず誰かが悩んでたりすると真剣に話を聞いてくれる。


ナンパ男であることに変わりはないけど、

それによって他人を嫌な気持ちにさせるような人じゃない。

私はこの2週間で、そう確信した。



「…」


みね君がまた私をじ…と見た。


「…今、唯くんが束縛したくなる理由が分かった気がするわ」

「え?」

「いーえ、なんでもないですっ。大丈夫認定、光栄でぃーす」


チャラ男感丸出しで言って缶コーヒーをクッと飲んだみね君が「あ」と何か思い出した顔をする。