「…唯くん」


「ん…?」



私の呼びかけに応じる間も、唯くんは私の前髪をよけておでこにキスを落とす。







…私もだよ。








私は頬にある唯くんの手に自分の手を重ねた。


「…好きだよ、唯くん。大好き」






「…」







唯くんが、動きを止めた。







「…」






え、ダメだった?

思ったことをそのまま言っただけなんだけど

私、もしかしてすごいクサイこと言った?キモかった?




「…」




そんな信じられないもの見るような目で見られると、急に恥ずかしくなってくるよ!?

唯くん、なんか言って!

お願いなんか言って!!




どんどん顔が赤くなってくる私に、唯くんが突然首をグリンと横に向けて私から見えないように伏せた。




あれ…?




「唯くん…?どした?」



「…じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつ、」




唯くんがそっぽ向いたまま寿限無を唱えはじめた。





な、


なん…?





「くうねるところにすむところやぶらこうじのぶらこうじパイポパイポ」

「ゆ、唯く」

「ちょっと今喋んないで」

「はい」