唯くん、大丈夫?

うぅ…てらちんめ。もう少し充電したかったのに!

起立、礼をしながらてらちんへの恨み節を心の中で唱える。


…でも


前の前の前の前の前の、さらに横の横の横の横にいる唯くんの、ちょこっとだけ見える頭。


「……はぁん……」

ピンクのため息不可避。

あんなちょこっとだけの頭だけでこんなにかっこいい人、いる?天才か?

念願の、夢にまで見た、唯くんと同じクラス。

生きててよかった。

生きててよかった。

生きててよかった!


緩みまくった顔を真横に倒してちょこっとだけ見える唯くんを眺めていると、頭をちょん、とつつかれる。


「ん?…あ、委員長!」

「どもー。同クラ初だね。よろおね」


椅子を下げて体は前を向いたまま、目線だけよこす前の席のメガネ女子。


木南 詩織(きなみ しおり)ちゃん。

唯くん曰く、金にしか興味がない女。


「うん!よろしく委員長〜!」

正確に言うともう委員長じゃないんだけど、委員長が定着してしまった。

委員長も気にしてなさそうだからこのまま呼び続けちゃお。


「2人と同クラなんて、楽しみしかないわー。期待してるよ、羽根村さん」

「ん?期待?」


私の疑問符を当たり前に無視して、委員長が視線を落として「あ」と何かに気づいた。