しれっと口を挟んだのは、さっきまでのしおらしさはどこ吹く風のユリアちゃん。

せっかくなので一緒にケーキバイキングを食べようということになって、今隣に座ってる。

ちなみにケーキをモグモグする美琴を堂々と録画して鼻息を荒くしている。




「…え?」


「最後に行ったとき、これいつまでやんの?って聞かれたんですよ。私が本気じゃないこと、多分気づいてたんだと思います。」


「え!?そうなの…!?」


ユリアちゃんは上品な手つきでコクッと紅茶を飲む。


「まあ理由まではわかってなかったと思いますけど…さすがに戦意喪失しました。それに優花先輩に叩かれた後、あの人どんな顔してたと思います?」


「えぇ…?」


そういえばあのあとすぐ逃げたから、唯くんの顔は見なかった。


「いつもの無表情じゃないの?」

「いえ。笑ってましたよ。」

「え!?」







あの唯くんが、


ビンタされて笑ってた…??





「え、待って…ちょっと想像が追いつかない…」


ユリアちゃんは真顔で美琴を連写しながら続ける。


「流石に引きました。彼女に嫉妬されてビンタされたことが相当嬉しかったんですね。ドン引きですよ。」


「それで翌朝ちょっと嬉しそうだったのか。」

そう納得した美琴のお皿はもう空っぽだ。


思考停止した私は、未だにケーキに手をつけられていない。