「噂…?」


「うん。私と唯は幼馴染なだけで、一度も付き合ってないよ。」

「そうそう。どっちかというとフラれたのは唯くんだしね〜」

私の言葉に美琴が「ん?」という顔をする。

「ちょ……待ってください。」


ユリアちゃんが困惑した様子で頭を抱えた。


「唯先輩、来るもの拒まず告白すれば付き合えるって聞いたんですけど…?」


「んーん、逆だよ。唯は来るもの拒みまくって恨みを買うタイプ。そんな噂もあったんだ。だからバレンタイン忙しそうだったのかな?」


「全部……噂…!?」


ユリアちゃんが信じられない、という表情を浮かべる。



「なんだか、たくさん勘違いしてたみたいだね。」

美琴が聖母の微笑みを浮かべた。


「それで、どうするつもりだったの?」



ユリアちゃんはしばらく言葉に迷ってから、消えそうな声で言った。



「……2人を別れさせて、唯先輩は捨てるつもりでした」