「…でもほんとに彼氏じゃないんだってば。」



「3年の夏木龍臣です。すいません、勢いで家までお邪魔しちゃって」



「いいのよ全然~!ママイケメンならいつだって大歓迎」




頼むからこれ以上恥をさらすのはやめてくれ、母よ。




「あ、龍臣くんごはんお替りいる?」


「いいんですか?いただきます!」


「ちょっと先輩何馴染んでるんですか…」




この人の環境適応力ってやつは恐ろしいもんだ。

ちょっと分けてほしいくらい。





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「_今回ばかりはすいません、先輩」


「はは、いいよ。やっと会えたもんハナちゃんにも」




そういって龍臣先輩はゴールデンレトリーバーのハナの頭をなでる。




全部先輩をこんな時間まで帰してくれなかったお母さんたちのせいだ。


ハナの散歩も行けてないから、ついでに送ってあげてなんて本当にどうかと思う。




「元カレ、家連れてったことなかったんだ」


「…ないです」


「そっか、じゃあ俺が1番乗りだな」




龍臣先輩はへへっと笑った。


能天気だなぁ、まったく。




こないだはさんざん遥輝のこと気にしてたくせに、今回は深く触れてこなかった。


私がその話に触れてほしくないって、見透かされてるのかな。




本当に、このさりげない優しさはズルい。