【咲結side】


「来た来た、遅かったね待ってたよ」



「先輩帰ったんじゃないかなって思ってました」



「俺への信頼0だね相変わらず」




放課後、HRが終わってすぐ3年2組に行くと窓側の1番後の席に龍臣先輩はいた。


これで龍臣先輩がいないからと先生に睨まれる心配はなくなって一安心。




「体育見てたよ、足はやいんだね」



「…人並みですよ、帰宅部だし」



「走る前、目あったでしょ。俺のこと探してたの?」




ギクッ


やっぱ気づかれてた、見てたこと。




「…探してないです、たまたま上見たらそこに先輩がいただけなんで」


「ふうん、まあいいけど」




なにがまあいいけどだ。にやにやしちゃって。




「走る前一緒にいた男、誰?」



「…ン堂、じゃないや。安堂くんですか?同じクラスの子ですけど」



「へぇ」




自分から聞いてきたくせに急につまんなそうに目を逸らす龍臣先輩。



なんか変なこと言った?言ってないよね、私。




「咲結にも俺以外に仲いい男とかいたんだ」



「…人並みですよ。クラスメイトだし」




なんなの、この若干不毛な会話。