「そんな時、現れたのが咲結。」



「私、ですか」




「人のキスシーンガン見してるから変な子なんだと思ったら、あれは自分の彼氏で、浮気されてるけど自分が悪いとか言い出して。」


「…」



「でも、結局咲結は昨日彼氏クンをふった。正直、かっけえって思ったよ。

俺も、このままでいいのかって考えて、気づいたら恋奈に別れようって言ってた」



私が、きっかけになった。


龍臣先輩が無理をしなくていいように、少しでも役に立てたのだろうか。





「自分が限界だったのもあるし、遥輝クンがいるからもう別れても平気なんだろうって思ったのもある。

まあ今、すっきりしてるよ。まだ実感わかないけど、咲結のおかげ」




「…私こそ、先輩がいなかったらきっと浮気のこと自体一人で抱え込んでました。

あの日、先輩がいてくれてよかったです」



「ふはっ、ほんと直球だね」



やっと本当の笑顔が見れた。


愛想笑いのようなあの貼り付けた笑顔じゃなくて、ちゃんと笑ってる顔。



「帰ろっか、咲結」

「はい」



気づけば私も笑って、そこからはまたいつものくだらない話をしながら一緒に帰った。




居心地がいい。

龍臣先輩の隣は、あたたかくてたのしい。



遥輝と付き合ったあのときとは違う、この気持ちは__