「…先輩、泣いてますか?」


「はは、まさか。泣いたら慰めてくれる?」


「慰めないですけど…なんでそんなに無理してへらへらしてるんですか」



龍臣先輩はピクリと反応を示した。


ほら、無理してんじゃん。



「…恋奈はさ。脆いんだよ。恋愛体質なこともあって、誰かがそばにいないと精神が不安定になる」



ここ座りな、と龍臣先輩が階段に腰かけ隣に誘う。


私は大人しく、座った。



「初めて話したときも、忘れ物取りに帰ったら教室で泣いててさ。先輩と付き合ってたんだけどフラれたらしくって。」



龍臣先輩は見てられなくて手を差し伸べた。



その日から、恋奈先輩は龍臣先輩に依存していった。



「告白されたとき、私のこと好きじゃなくてもいいからって言われて。その言葉に甘えたのは俺だった。

でも前も言ったけど、結局好きになれなくて。

束縛も、精神安定剤扱いされるのも、正直限界だった。」



霧崎先輩が言ってた。龍臣先輩はああ見えて無理してたって。

そういう意味だったんだ。